我が街[刈谷市]美術館でミロコマチコ展が行われました。溢れる生命力を具現化したダイナミックな絵を数多く展示。圧倒されっぱなしの2時間!豊富な知識を持つ学芸員さんのギャラリートークと共に物語性に富んだ原画を眺めているとライブ会場に居るような錯覚を抱きます。
ミロコマチコさんとは
職業/2010年代に画家・絵本作家としてデビュー。1981年大阪府生まれ。2019年奄美大島に拠点を移し、現在小高い丘の上の戸建に夫のまさしさんと5匹の猫ちゃんと一緒に暮らしています。本やCDジャケット、ポスター、商業用デザインの装画も手掛けているため、あなたも日常生活でマチコさんの絵に触れているかもしれません。
モロゾフ/ バレンタインキャンペーン2021パッケージデザイン
新宿伊勢丹/ 北欧のクリスマスをイメージしたショッピングバックなどのデザイン
無印良品/ MUJI GIFTBOXのデザイン(この世界すべてがプレゼント・世界がリボンで包まれる)
暮らしの手帳社発行[暮らしの手帳]/ 本の表紙の絵(フルーツサンドイッチや調理器具、料理に関する絵)
是枝 裕和著[万引き家族]/ 本の表紙の絵(装画/一つずつ違うビー玉を家族に見立てたデザイン。コロコロ転がって近づいたり離れたり、また光の当たり方で変わる様子は人間関係を表している)
2021年4月24日~6月6日まで刈谷市美術館にてミロコマチコ展開催
題[いきものたちはわたしのかがみ]とは
奄美大島に移住したマチコさんは大自然に囲まれて生活されています。春を早く迎える喜び、暖かくなると虫が出て、陽射しが照る。そんな素直な生活の中で、[わたし]が[いきもの]であることを強く感じ、[いきものたちはわたしのかがみ]の境地に至ったのだと感じます。
ジャクエツさんから贈られた花がエントランスに飾られています
刈谷市美術館エントランスに飾られている花はジャクエツさんからの贈り物です。ジャクエツさんは、幼児保育の教材教具の企画・製造から、魅力的な街づくりやコンサルティングを行う会社です。
エントランス自動扉に貼られたトラ。
エントランス自動扉に貼られた鳥。
案内看板の絵も文字もマチコさんが描かれています。
撮影OK!立体絵本[山車絵本6体]
6体の山車の中には2つのお話が並んでいるものもあります。人間視点と動物視点。動物視点はミロコマチコさんの創作話です。立体的に表現することで2つの話が同時進行します。面白い!
コウモリ側の視点で語られたお話。
人間側の視点で語られたお話。
山車の表に書かれているのは人間視点、内側はコウモリ視点で描かれています。
橋の下にぶら下がっているコウモリたちは、実は場所の取り合いをしていて寝られないくらい居心地が悪いらしい。立体化したコウモリたち。
絵で描かれた不機嫌なブルブル震えているコウモリたち。
ボク(コウモリ)は橋の下のキレイな石を拾いたかったんだけれど、人間はいるし、コウモリ同志縄張り争いしているし、それどころじゃなかったよ。人間目線の文章よりもコウモリのボク目線の創作話のほうがすうっと頭に入ってきます。絵本の魔法。
おばあちゃん(鳥)が孫に語る若い頃のお話。
山車の側面には赤い魚を沢山食べて喉がパンパンに膨れた若き頃のおばあちゃんが描かれています。
朱色と白のコントラストが綺麗な山車です。
孫たちに自分が魚獲りが下手だった若い頃のお話を聞かせるおばあちゃん鳥。
私が若い頃、小さな池に丸々と太った赤い魚が沢山いるのを見つけたの。夢中で食べたわ。あれ以来赤い魚の美味しさを忘れられなくて随分探したけど、見つけられなかったの。
赤い魚を食べてからしばらくして、くちばしが真っ赤になって魚獲りが上手になったの。本当よ。
ウサギ側の視点で語られたお話。
人間側の視点で語られたお話。
山車の表に書かれているのは人間視点、内側はウサギ視点で描かれています。
あっ人間だ!ありったけの力で飛び跳ねて、雪の上をボコボコ走る。隠れるのにちょうどよい茂みを見つけた。隠れよう。
茂みに隠れていたら、「ごめんよ」と声が聞こえてきた。茂みがしゃべった!?なんて驚いていたら、急に目の前に人間が現れた。
「手づかみで捕まえられるなんて珍しいねえ。今日はウサギカレーだ!」と人間は言う。カレーってなあに?
子カモシカの側の視点で語られたお話。
人間側の視点で語られたお話。
山車の表に書かれているのは人間視点、内側はカモシカ視点で描かれています。
僕は虫を追いかけて遊ぶのが好きから、暖かい季節が好きだった。ある日高く飛ぶ虫を追いかけるのに夢中になりすぎて、お母さんとはぐれてしまった。そしたら1匹の犬と人間2人に偶然出会ってしまったんだ。
どうしよう!!!ボクは凍てついて動けなくなってしまった。そこへ大きなカゲが飛んできて犬を吹き飛ばしたんだ。お母さんが助けに来てくれた!
人間は大きな木でお母さんをなぐりかかったり、石をぶつけたりした。ボクはそのスキに逃げられたんだけど、あとでお母さんの血がにじんだお腹を見て悲しくなった。お母さんは優しくなんでもないよ、って言ってくれるけれど、、、。それからは暖かい季節がやってくると切ない気分になるんだ。
こぐま側の視点で語られたお話。
人間側の視点で語られたお話。
山車の表に書かれているのは人間視点、内側はクマ視点で描かれています。
ボク、とうきび食べたいな。かぼちゃもスイカも栗も食べたいけど、やっぱり一番好きなのはとうきび!コリコリぐるり。
あれ、なんだろう。初めて見る生き物だ。ヘビだろうか。ああ、そうだ。とうきびだ!
そんなことを考えていたら、その不思議な生き物がゆっくりと後ずさりして去っていった。あれはとうきびの神様だったのかもしれないな。
へび側の視点で語られたお話。
内側にはヘビの作り話が、箱の外側には本当の事が描かれています。
箱の周りを一周するとヘビが鳥やカエルや卵を沢山飲み込んでいることが分かる仕組みです。
ねずみさん、ねずみさん。じつはボクさっき卵とまちがえてお餅を食べてしまったみたいなんだ。
お餅はへびの毒だから、きみに喉に入ってもらっておもちを取ってきてもらいたいんだ。
「真っ暗で何も見えないよ。」「もうちょっと奥まで覗いておくれよ。」お餅に目がくらんだネズミはゆうっくりとヘビの呑み込まれていったのでした。
撮影NG!の展示物
刈谷市美術館は全5章に分けてミロコマチコさんの原画を展示しています。章ごとにまとめてみましたが、ノートに走り書きしたものを拾っているため間違いがあったらゴメンナサイ!(メールで教えてくださったらそっと直します)
第二章/ 装画・アートディレクター作品// 書籍の装画や企業とのコラボレーション。他者の手が加わる(トリミングなど)事が前提なので緊張感が漂います。原画は大きいけれども実際使われるのは小さな本だったり、小さな原画が大きく引き伸ばされたり。
第三章/ 絵本// 絵本の世界感をそのままに。カッティングシートで作った擬音を原画の周りに散らし迫力アップ。マチコさんが幼い頃読んだ絵本の展示が楽しいです。 ラッセル・ホーバン著「おやすみなさいフランシス」の一幕で、あなぐまの子供フランシスがベッドへ入る時に皮を脱いで寝た、というシーンがマチコさんの幼心におどろおどろしく感じた、という学芸員さんの話がツボにはまります。
第四章/ からだうみ(大型立体作品)// 体験型展示物です。床に敷かれた食道の上を歩きながら、大きなアーチの下をくぐります。大きなアーチ(あばら骨?)に吊り下げられた血液や細胞、舌ベロ、床に咲いたシナプスの花。細かな部品が沢山あるので時間をかけて見たいところですが、狭いスペースなので我慢我慢。
第五章/ 新作// 龍が通ると言われる奄美大島の町に住むようになり、マチコさんは霊性を帯びた未知なる存在を描くようになりました。画材がアクリル絵の具にアクリルガッシュやメディウム、ジェッソが加わり、一層発色良く、マットと艶で光の魔法が掛けられ、白く波立つ海のような迫力の絵に進化。刈谷市美術館にてご覧いただく他お伝えする手段がありません。
ミロコマチコ展の感想
自宅から自転車で走って5分の刈谷市美術館でマチコさんのエネルギーに触れることが出来て、とても贅沢です。美術館内に音楽はかかっていませんが、私の頭の中には何かの音楽が鳴り続けていました。また、展示会場が違うと作品のイメージがこれほど膨らむのか、と感じたのは立体山車[ヘビとネズミ]です。刈谷市美術館東側に佇む佐喜知庵では静寂な空気の中、作品が語り掛けてきます。素敵だわ。素敵だわ。
※コロナ禍で中止となりました
刈谷市美術館の帰り道はスイーツでしょ、パン食菜館 トレトゥール/TRAITEUR
トレトゥールさんはパン、ケーキ、お惣菜のテイクアウトや、ランチやケーキセットを店内で頂けるお店です。私は刈谷市図書館や刈谷市美術館へ行った後によく寄ります。
刈谷市美術館の斜め向かいの立地がとても好きです。
営業されててよかった~美術館では脳みそがフル回転するので甘いものが欲しくなります。
ワタシにナニカあまいものをください。
流行のマリトッツオがあるではないですか!
マリトッツオとミルクレープとベリーベリータルトを購入。さっそく家へ帰って家族にミロコマチコ展の感想を聞いてもらいながら食べましたとさ。おわり。
刈谷市総合文化センターにて2021年4月24日ライブペインティングの作品[海を混ぜるⅡ]展示中です!
2021年4月24日(土)刈谷市総合文化センターアイリス小ホールにてミロコマチコさんと音楽家haruka nakamuraさん(ピアノ)、ISAOさん(打楽器)によるライブペインティングが行われました。
大型作品。下の白い線はアクリル絵の具のチューブを絞って描いた線かしら。。画材の匂いがします。懐かしい、、高校の美術室の匂い。
24日のライブペインティングへ行きたかったのですが、不動産屋は土日お仕事です。どんな空気感だったのが肌で感じたかったな。
刈谷市美術館横の佐喜知庵に展示されたヘビの絵にも使われていた発色の良い蛍光色のピンク、好きです。